令和の御代の始まりに
今上天皇のご即位と共に、新たに令和の御代が始まりました。「令」という字が日本の国書からの初の典拠ということで、日本の進路を刷新するという強い決意が伺えます。
ただわれわれは「令」という字ばかりに関心を向けがちですが、改めて注目したいのは「和」という言葉が選ばれたことです。和と言えば、十七条憲法の第一条の“和をもって尊しとなす”という言葉を遺した聖徳太子です。その聖徳太子は中国の皇帝宛に、“日出る処の天子、書を、日没する処の天子に致す。恙なきや”という手紙を出しました。ここには「冊封体制」から離れ、中国と対等関係になる決意が表明されてます。対等な外交関係に主張を貫く交渉力、その根底にある自国への誇り。外交官や国造りの天才としての手腕を発揮した聖徳太子から、われわれは多くを学べるはずです。
東京オリンピック・パラリンピック大会が開催される2020年には、訪日外国人観光客数が4000万人に達すると言われています。その時、外国人に対して日本のどんな姿を見せるべきか、和を以て尊しとなす日本の独自性を体験してもらう、絶好の機会にしたいものです。