関東大震災から100 年

過去からの学びと未来への備え

今を遡ること丁度100年前の大正12年(1923年)9月1日といえば、大抵の日本人はただちに「関東大震災」を想起するだろう。

相模湾の海底を震源として発生した地震動は、東京・神奈川地域の建造物に多大な被害をもたらすとともに同沿岸部への津波被害も引き起こした。また発災後に生じた大規模火災は多くの人々を巻き込み、結果的に10万人以上の犠牲者を生む。明治維新から50年余を経、近代国家としての歩みに自信を持ち始めた我が国にとってこれは大きな衝撃であり、当時の人々に防災の重要性を認識させたことは想像に難くない。

そして36年後の昭和34年、今度は愛知県を中心とする中部地方を「伊勢湾台風」が蹂躙する。4000名以上の犠牲者と15万件以上の建造物被害に直面し、再び日本人は防災の重要性を知らしめられ、これを契機としてようやく国家、さらには国民レベルでの対策に着手。現在に至るまで、「防災の日」の策定を始め、様々な防災施策が検討、実施されてきた。

とはいえ、とりわけ近年では、わが国の社会・経済構造、災害形態は以前と比べ大きく変化しつつあり、果たしてこれまでに策定、実施された施策がこれに十分に対応しているといえるだろうか。
今回の巻頭特集は「防災」をテーマとした論考を掲載しているが、それらは、近年のわが国を取り巻く環境の変化や、意外に見落とされている視点等を踏まえたものとなっている。

日々の生活に追われ、つい忘れがちになってしまう災害、そして防災。それらを改めて意識するとともに、新時代に対応した防災、その在り方を考えるきっかけとなれば幸いだ。

寄稿

●関東大震災から100 年――首都圏に潜む知られざる火薬庫
(長尾年恭・東海大学&静岡県立大学客員教授DuMA(地下気象研究所)/ CSO)
●忘れてませんか?火山災害
●「防災の日」によせて――来るべき災害への備え ●日本CBRNE 学会 発足(石井正三・CBRNE 対策研究所所長)


◎ 詳細は月刊JMS・2023年9月号にてご覧ください。