新年のご挨拶
新年あけましておめでとうございます。昨年は、本庶佑先生のノーベル生理学・医学賞の受賞という喜ばしい話題があった一方で、医学部入試における課題や反省点が突き付けられたように、昨今と比べて医学・医療分野の話題に事欠かない1年であったように思います。もちろんより切実だったのは、九州や北海道地域等で起きた地震や洪水によって多くの方が被災されたことでした。それを象徴するかの如く、2018年を示す漢字も「災」でした。
ただわれわれ人類は歴史の中で、すべてを学びに変えていく英知を身に着けてきました。つまり、起きてしまったことをただ嘆くのではなく、そこに「意味」を見出し、死から再生へと転化させていくということ。いみじくもフランスの哲学者アランは、“悲観主義は感情、楽観主義は意志によるものである”という言葉を遺してくれています。「前向きさ」というのはこの意味で、自分を取り巻く人々への深い気遣いに裏打ちされた「利他精神」であるように思うのです。
とすれば、われわれは今、ネガティブな出来事をより有用な形へと現実化していくことが問われていると言えそうです。つまり、医学部入試の在り方をきっかけに医師の働き方の問題に目を向けることや、災害を想定した医療機関の防災体制を築くことです。“災い転じて福となす”という諺があるように、今年は「災」を良き方向へと転化させ、より多くの幸せを感じられる1年にしたいものです。
本年も皆様のご多幸をお祈りしますと共に、JMS誌をご愛顧賜りますよう、何とぞよろしくお願いいたします。