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独りのX’masから2人のX’masへ

山々が赤く染まり、紅葉の季節を過ぎた頃はなんだか人恋しい気持ちになるものです。ハロインも終わり、11月の半ばにはクリスマスのイルミネーションが街中を彩りはじめ、クリスマスツリーもちらほら見えてきます。

幼き頃、クリスマスは意味も分からないのに、とっても素敵な時間でした。その日にもらうプレゼントは、ひときわ特別なものでした。分別のつく大人になった今、クリスチャンでもないのにクリスマスを祝ってしまうのは、こうした幼き日の“原体験”ゆえなのかもしれません。

ところで、クリスマスの定番と言えば、「クリスマス・キャロル」のことを思い起こされる方は多いのではないでしょうか。厳密に言うと、クリスマス・キャロルはクリスマス・ソングとは異なり、キリストの誕生に纏わる逸話を含んだ、宗教的な意味合いの濃い讃美歌を指すものです。代表的なのが「きよしこの夜」です。また1843年に刊行された、イギリスの作家・チャールズ・ディケンズの小説『クリスマス・キャロル』もまた有名です。以下、筋書です。

 物語は、主人公のスクルージがクリスマス・キャロルを歌いにきた少年たちの寄付を渋るところから始まります。そのスクルージはロンドンの下町で商売をし、強欲かつエゴイスト、思いやりの微塵もない人物として人々に嫌われていました。その強欲ぶりは、7年前に亡くなった共同経営者のマーレイの葬儀においてもお布施を渋り、お金を持ち去るほどでした。

 クリスマス前日の夜のこと、そのマーレイの亡霊がスクルージの前に姿を現します。マーレイの亡霊は金銭欲や物欲に塗れた人間がいかに悲惨な末路を辿るか、スクルージの生き方を修正すべく、3人の亡霊が今から姿を現すということを言い残して消えました。そしてその3人の亡霊は、それぞれ「第一の亡霊(過去)」「第二の亡霊(現在)」「第三の亡霊(未来)」としてスクルージの前に姿を現し、彼のそれぞれの時期に関係した様々な光景を見せていきます。

 三人の亡霊によって示された光景に衝撃を受けたスクルージは、これを機に改心の誓いをし、三人の亡霊たちに感謝の意を示します。新たな人生を歩む決意をしたスクルージは、人々への援助を進んでするようになりました。

そんなクリスマスに因んだ物語に心揺さぶられたところで、改めてクリスマスは独りで過ごすのは、やはり寂しく感じるものではないでしょうか。「いや、私は友達がいるから・・・」なんてただの強がりのようにしか聞こえません。友達とパートナーは別物です。それに独りで平気なのは、『クリスマス・キャロル』の主人公・スクルージさながらに、よっぽど孤独に慣れているか、人間嫌いの人でしょう。しかし、いくつかの自分の未来を思い描いたとき、一番幸せになれると思える道に、パートナーとの生活があるのであれば、結婚相手を早めに見つける努力をしておきましょう。なるほど、『クリスマス・キャロル』のスクルージも、物語の最後には改心し、人々との暖かい交流を持ったではありませんか。

形のない「ご縁」を信じ、それを2人で大切に育て上げ、形ある「結婚」という儀式に落とし込む。結婚は、確かに自分の価値観を上書きするという面もありますが、家族としての“2人の魂”を育て上げるという新たな側面もあるのだと思います。そしてそれを成しうるためには、再び生まれたときのような“純真”さが必要であるように思います。その純真さを取り戻す儀式こそが、結婚なのではないでしょうか。

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