全国医学部長病院長会議が医学部入学試験制度に関する規範を発表

11月16日、文部科学省記者会見室(12F)にて、全国医学部長病院長会議(AJMC)による緊急記者会見が行われた。AJMCは、1967年に全国の大学医学部医学部長、病院長を会員として発足した法人組織。医学教育、医学研究、附属病院での種々の重要な課題を協議し、意見の統一を図り、わが国における医学ならびに医療の改善向上に資することを目的としている。現在の会員は、近年創設された東北医科薬科大学と国際医療福祉大学の2校を除く、すべての大学医学に80校で構成されている。

先般、文部科学省高官と東京医科大学が入試において不正を働いたとされる事件が発覚し、大きな社会問題となる中で、AJMCでは組織内に、国民に理解される公正・公平な入試制度を実現するための「大学医学部入学試験制度検討小委員会」を設置。今回の記者会見では、同委員会委員長を務める嘉山孝正氏が、先月開かれた緊急記者会見上で提言を約束していた、「大学医学部入学制度に関する規範」について発表した。

冒頭、「医学部は国立、私立、公立と形態の相違があり、投入される税金の多寡もあるとはいえ、税金が投入されている以上、国民が納得する入学試験制度でなければならない」とした上で、「2019年の春の入試から、種々の検討を経て『大学医学部入学制度検討小委員会』で判定された大学医学部は、種々の検証を経て、更に適切な手続きを踏み、AJMCから除名を含む処分の対象とする」旨が示された。そして、学力試験や学士編入試験制度、AO、帰国子女枠等、社会の意識の変遷や医療界の現場の問題から影響を受けてきた医学部入試制度の歴史を振り返り、①国民から見て公平であること(=「公平性」)②国民にとって良い医療人、医学者になりうる人を確保すること(=「医療人確保」)――の2点を勘案し、①性差②浪人年数(年齢)③内部進学枠、同窓生子弟枠等④その他の枠:推薦入試枠、学士編入枠、帰国子女枠⑤地域枠――の項目に関する規範の考え方と詳細が示された。

とりわけ性差と浪人年数(年齢)に関しては、「①②に即して判断した場合、性差・年齢によって一律に判定基準の差異を設けることは不適切であり、決して容認できるものではない」と明記されたが、年齢に関しては、「入学者の選抜に際して入学者が将来、どの程度それを有意義な形で社会に還元可能かといった観点から評価を加えることも大学の社会的な責務である」ことも記載された。なお、2019年の春の入学試験では、性差、浪人年数(年齢)に関する不適切事例が処分対象になるとしている。

会場からは幾つか質問が上がり、その中で「AJMCのみならず、日本医師会や日本医学会が猛烈に反対していた、国際医療福祉大学の医学部新設に関しては、『公平性』という点で極めて大きな疑義がある。一大学の入学試験の不正を暴くことにマスコミが躍起になっているが、この方が大きな問題ではないだろうか」との意見が上がった。また、「最終的には医師国家試験で、性差・年齢問わず厳正に評価され医師資格を授与されるのだから、あくまで入学試験による選抜は、各大学の自由裁量で良いのではないか」との指摘もあった。

AJMCは国から法人と承認され、国際認証機関からも高く評価されている国際レベルの教育を施行する大学医学部の集合体。嘉山氏は「法律・規範というのは偉大なる常識である。今後、厳しい対応になっていくだろうが、規範が示されたことで各大学はその重みを受け止めて、入試に取り組んでいくことができるだろう」と意見。国や国民にとっても大変大きな意味を持つ医学部入学試験制度に、引き続き責任をもって関わっていきたいとした。