2019年7月号掲載 新製品情報
科学捜査や法医向け卓上タイプ自動前処理装置「ATLAS-LEXT」を発売
島津製作所は、血液や尿の薬毒物分析に用いる自動前処理装置「ATLAS-LEXT」を発売した。同社100%出資のグループ会社である島津エンジニアリングが開発した。
科学捜査研究所や法医学検査機関で行われる鑑定法の1つに、生体試料に含まれる薬毒物成分の分析がある。同社製の液体クロマトグラフ質量分析計(LCMS)やガスクロマトグラフ質量分析計(GCMS)は、両機関において尿、血中の薬毒物などの分析に長年用いられてきた。こうした分析に欠かせない前処理作業は、研究員自身が行うケースが多く、作業に時間を要することに加え、感染性試料を扱うリスクも伴う。そこで同社および島津エンジニアリングは、前処理作業の省力化や感染リスクの低減だけでなく、処理精度の向上および管理を図る自動前処理装置を開発してきた。
今回発売した自動前処理装置「ATLAS-LEXT」は、LCMSやGCMSの機器分析に必要な前処理作業を簡便かつ全自動で実行できる。ディスポーザブルチップ着脱式の分注機能を新たに導入し、遠心力などの基本性能も向上させたことで、血液や尿の他に加えて毛髪からの薬毒物抽出も可能となった。
1. 容易な操作で前処理が可能に
最大24検体をセット後、シンプルなボタン操作のみで前処理が自動的にスタートする。また、pH調整※から抽出、蒸発乾固、再溶解までの一連の処理を付属のソフトウェアから目的に合わせて容易にカスタマイズできる。
2. 前処理作業の再現性が向上
装置内の汚染を防ぐためのディスポーザブルチップ着脱式の精密分注機能や、最大2000×gまで向上した高速遠心機能、9段階の調節が可能な攪拌機能などを新たに搭載した。蒸発乾固方法もガス吹付け式と減圧乾燥式の2通りから選択でき、より多様な用途に対応できるようになった。
3. コンパクトな設計による卓上型
遠心や蒸発乾固など充実した機能を備えながらも、幅600mm×奥行585mm×高さ592mmのサイズであるため卓上に設置できる。
製品に関するお問合せ先
(株)島津製作所
https://www.shimadzu.co.jp/
2020年からの義務化に向けて医療被ばく線量管理システム「DOSE」販売開始
東陽テクニカは、ヨーロッパを中心に世界600以上の医療機関で採用されているQaelum N.V.(本社:ベルギー)製医療被ばく線量管理システム「DOSE」の国内販売を2019年7月1日より開始する。
近年、世界でCT(コンピューター断層撮影)をはじめとする放射線を用いた医療検査における患者の被ばく線量の管理への意識が高まっており、日本でも2020年4月施行の法改正により線量の記録、管理が義務化される見込みである。「DOSE」は放射線を利用する検査装置から、患者一人一人に対する被ばく線量情報を収集して「最適化」するソフトウェアツール。例えばCTでは使用する線量と得られる検査画像の画質にはトレードオフの関係があり、ただ被ばく線量を減らすのではなく、適切な線量で診断に必要なレベルの画質を得ることが必要である。「DOSE」は線量の収集だけではなく分析、フィードバックまでを行うことで施設の現状に沿った最適化を実現する。東陽テクニカは国内総販売代理店契約を締結しているQaelum社の「DOSE」の販売を通じて、最適な被ばく線量管理に貢献する。
製品に関するお問合せ先
(株)東陽テクニカ
https://www.toyo.co.jp/
仏Echosens社製肝硬度測定装置フィブロスキャンの新モデル「フィブロスキャン430プレミエ」
インテグラルは、フランスEchosens(エコセンス)社製肝硬度測定装置の「フィブロスキャン430ミニ(FibroScan 430 Mini)」の上位モデル、「フィブロスキャン430プレミエ(FibroScan 430 Premier)」の国内販売を開始した。同製品は、これまでポータブルタイプのフィブロスキャン430ミニでは搭載出来なかった肝脂肪の量に相当すると報告されている超音波減衰量パラメーター「CAP」を測定する機能がオプションで搭載可能となった。
検査はわき腹にあてたプローブから振動と超音波を伝えることで、無痛で、簡単に終了する。患者情報を入力してから検査を終えるまで数分程度であり、ワークフローの簡便さも本品による検査の利点である。医師、技師だけでなく、看護師も含む医療従事者であれば、1時間半程度の検査トレーニングを受講することで、特別な知識・経験を必要とせずに検査を行うことが出来る。
製品に関するお問合せ先
(株)インテグラル フィブロスキャン事業部
TEL 03-6417-0810 FAX 03-6417-0853
https://www.fibroscan.jp/
膵胆管疾患の診断・治療に用いる胆道ビデオスコープ「CHF-B290」発売
オリンパスは、膵胆管疾患の診断・治療に用いる胆道ビデオスコープ「CHF-B290」を国内で発売した。高画質かつ耐久性の高いスコープで膵胆管を直接観察することによって、より確かな疾患の診断・治療をサポートする。同製品は、十二指腸スコープの鉗子挿通用管路に挿入して使用する細径スコープ。先端部外径3.3mmのため、細い膵胆管内を直接観察したり、組織を採取したりすることができる。
「CHF-B290」は、近点の画質を強化し、耐久性・操作性の向上を実現した。これにより、膵胆管疾患のさらなる診断性能向上に貢献する。
製品に関するお問合せ先
オリンパス(株)
http://www.olympus.co.jp
無理のない姿勢で検査できる超音波診断装置「Aplio a / Verifia」販売開始
キヤノンメディカルシステムズは、検査者が無理のない姿勢で検査が行える新製品、「Aplio a / Verifia」を販売開始した。
1. あらゆる検査姿勢に対応するフレキシブルな機構
立ち操作や、処置室・術場などでも快適に検査するために、観察モニタや操作パネルの位置や高さをフレキシブルに調整できるので、かがんだ状態での下肢検査から、処置室や手術室での立ち検査などでも無理のない姿勢で検査をすることが可能。
2. 複雑な検査をサポートするProtocol Assistant
スクリーニング検査においてルーチンとして撮っておきたい部位や断面を描出するための装置の操作手順と、対応した参照画像を装置に登録し、簡単な操作で順次呼び出せるProtocol Assistant機能を搭載可能。参照画面としては超音波検査画像のほか、臓器の部位を示すイラストやプローブの当て方などの写真も登録できる。これにより、複雑な検査の流れも撮り残しなく誰でも簡単に進めることができる。
3. 幅広い検査に対応する高画質と多彩なアプリケーション
上位機種と同等の21.5インチワイド液晶モニタを採用している。深部の組織を高解像度で映像化する同社独自の「D-THI」を始め、高画質断層像技術を搭載。さらに低速で微細な血流を描出できる同社独自の血流イメージング技術「SMI」、心臓検査で心筋の動きを観察する2D Wall Motion Tracking、肝臓などの臓器の硬さを映像化するエラストグラフィなど、数々の高画質技術と多彩なアプリケーションを搭載可能)で、多くの臨床分野での検査をサポートする。
製品に関するお問合せ先
キヤノンメディカルシステムズ(株)広報室
TEL 0287-26-5100
https://jp.medical.canon
超高周波超音波画像診断装置「SonoSite Vevo MD(ソノサイト ビーボ エムディー)」新発売
富士フイルムは、直径0.5mm以下の末梢血管や小さな腫瘍など、体表付近(体表から深度1cm程度)の微細組織構造を、鮮明かつ高精細な画像で観察できる、FUJIFILM SonoSite, Inc.の超高周波超音波画像診断装置「SonoSite Vevo MD、以下Vevo MD)」を、富士フイルムメディカルを通じて発売した。同製品はFUJIFILM SonoSite, Inc.の独自技術により、広く診断に用いられる汎用超音波画像診断装置として世界最高70MHzの超高周波と、35ミクロンの高解像度を実現した。
患者の身体的負担が少ない低侵襲の検査として注目されている超音波検査は、腹部、心臓など、身体内部の検査に加えて、乳腺、甲状腺、末梢血管、筋骨格、神経、皮膚など、体表付近の組織の検査にも用いられている。体表付近にあるこれらの組織は微細な構造を持つことから、高解像度な検査画像が求められる。一般に超音波画像は、超音波の周波数が高いほど解像度が高くなるが、周波数の高い超音波プローブを製造するためには、非常に高度な微細加工技術が必要。しかし、これまでの技術では、周波数30MHz程度のプローブを実現するにとどまっていた。
今回発売した「Vevo MD」は、FUJIFILM SonoSite, Inc.が長年に亘って培ってきた、独自の超音波プローブ製造技術と、超高周波超音波の送受信技術によって実現した、最高周波数70MHzの超高周波プローブによる高精細な画像を提供する超音波画像診断装置。超音波画像として画期的な、35ミクロンの高解像度で鮮明な画像により、体表付近の微細な組織構造を、明瞭に観察することができる。「Vevo MD」には、最高周波数46MHzのプローブもラインアップしており、46MHzのプローブでは、体表から深度2.4cm程度と、より深部を観察することができる。
「Vevo MD」は、他の超音波画像診断装置とは一線を画す高周波・高解像度を実現することで、特に、顕微鏡下で行なう手術「スーパーマイクロサージャリー」が行われる形成外科領域でのニーズに応える。例えば、全身の皮膚のすぐ下に網目状に張り巡らされている直径0.5mmに満たないリンパ管と静脈を吻合するリンパ浮腫の外科治療において、従来は困難だった、切開前に吻合に適したリンパ管・静脈の位置の特定や狭窄の有無などの状態評価が可能になる。また、皮膚移植においては、手術前に移植や吻合に適した皮膚・血管を確実に探すことができ、術後は移植された皮膚の生着状態を継続的に観察することができる。このようなマイクロサージャリー、スーパーマイクロサージャリー分野におけるVevo MDの活用方法が、日本をはじめ各国の形成外科学会で注目されている。「Vevo MD」は、従来の超音波画像診断装置では極めて困難だった臨床への応用が期待できる。
製品に関するお問合せ先
富士フイルムメディカル(株)
営業本部 マーケティング部
TEL 03-6419-8033
http://fms.fujifilm.co.jp/