JMS Topics

2018年10月号掲載

どう進める?オンライン診療

大いなる可能性を秘めるオンライン診療

厚生労働省は平成30年度診療報酬改定で、タブレットやスマホなどの情報通信機器を使って患者と離れた場所から診療を行った場合には「オンライン診断料(70点)」、「オンライン医学管理料(100点)」、「在宅時医学総合管理料 オンライン在宅管理料(100点)」が算定できることを明示した。

この改定により厚労省はオンライン診療を臨床現場に導入するとっかかりを作ったわけだが、医師、患者ともに情報通信機器の操作方法や情報セキュリティ等に関する知識が必要になってくるし、適正使用のための診療ガイドラインもまだ整備されていない状況だ。オンライン診療が保険診療として現実的に導入され普及していくにはさらなる体制面の整備が必要となる。

とはいえ、オンライン診療は高血圧、糖尿病、COPDなどの生活習慣病を抱えているが通院が困難な高齢者や、うつ病、双極性障害、自閉症などの疾患を抱え外出できない精神疾患患者などに対しての経過観察を基本とした日常診療に適していることは間違いない。患者をよく知るかかりつけ医が行う新しい医療のかたちとしては非常に可能性のあるものだということを多くの医療従事者は認識しているところだろう。

一方で「医療は医師患者間の対面診療が基本原則だ」という考えもある。同じ空間にいることにより触診で患者の容態を感知できることはもちろん、視診、問診もより精密に行うことができ、より多くの情報を得られるという点もまた事実だろう。しかしまた一方で近年のICT技術はこうした対面診療に劣る点をも優れた科学技術力によって克服してしまう可能性があることは否定できない。

いずれにしてもオンライン診療は緒に付いたばかりで、また日常診療として確立されていない。今後より多くの臨床場面で高い有用性を発揮することで対面診療の一部領域を代替する新しい診療のかたちとして評価が高まっていき、次の改訂ではより多くの診療報酬項目に関連していく可能性を秘めている。(JMS編集部)

【オンライン医学管理料の算定例】

【オンライン在宅管理料の算定例】

 

医療の新しいかたちをオンライン診療で実現してみたい

山下 巌・医療法人社団法山会 山下診療所 理事長・院長、医学博士

まずは無料でオンライン診療の試行を

原 聖吾・株式会社MICIN 代表取締役 CEO